「(数理)モデル」と一言で言ってもそこには狭義のモデルと広義のモデルとがある.広義のモデルは「風が吹けば桶屋が儲かる」といった「ある変数に従ってある変数が変化する」程度の大雑把な関係を指しても異議はないだろう.狭義のモデルにはグラデーションがあるが,もっとも具体的なモデルは前述の例に従うと「ある月の平均風速を x とすると,桶屋の売上は 3.5x である」といったように,「式の具体的な形 y = wx」と「パラメタの値 w = 3.5」のペアではないかと思う.「グラデーションがある」というのは,「式の構造は y = wx + b であり,風速の重みパラメタ w と定数項 b は手元にある10年分の風速と売上のデータに対する最尤推定で得られる値である」も研究論文としてのモデルとして受容されているからだ (これは論文中に推定したパラメタの値をすべて記述することはまれであり,「やろうと思えば再現できる」状態であれば良いという共通認識をコミュニティが持っているからです.とはいえ問題があり,いくつかの先行研究で示されていることですが「このデータとこの手続きで求めたパラメタ」が実装の差異などによって一致せず,特に取り組んでいるタスクなどの理由によってオープンでないデータのみで実験されたモデルの良さはどれだけ保障されているのか,という議論にも発展するのですがこれは本筋ではない).このような話が案外共有されていないことが多いのですが,人はいつどこで学ぶのでしょうか